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腎臓病

腎臓の構造と働き

腎臓は、握り拳大で左右に一対ずつ、背側の腰部に位置しています。
腎臓は、糸球体と尿細管からなるネフロンで形成されています。
1つの腎臓には、約100万個のネフロンがあります。

腎臓の主な働きは、尿を産生することです。
尿を産生することにより、次のような働きが行われています。

腎臓は尿を産生するばかりではなく、次のような働きも行っています。

腎臓病の原因

腎機能が低下する主な原因としては、加齢が挙げられますが、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を合併していると、腎機能の低下を速めると考えられています。

成人の三大腎臓病として、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症が挙げられます。
そのほか、多発性嚢胞腎やループス腎炎、アミロイド腎など多くの腎臓病があります。

主な腎臓病 主な原因
慢性糸球体腎炎 免疫の機序により糸球体組織に障害が生じて起こります。様々なタイプがあります。
糖尿病性腎症 高血糖により糸球体組織に障害が生じて起こります。
腎硬化症 腎臓の血管に動脈硬化が生じて起こります。
高齢者に多く見られます。

これらの腎臓病は、それぞれ原因は異なりますが、一定以上に進行すると、いずれも濾過装置である糸球体の機能が順次に停止します。
半数以上の糸球体の機能が停止すると、残りの糸球体にそれまで以上の過剰な負担がかかってしまいます。
過剰な負担がかかった糸球体では、障害が速く進み、腎機能の低下が速まります。
したがって、腎機能の低下を抑制するためには、残りの糸球体の負担をなるべく減らすような対策や治療方法をとる必要があります。

慢性腎臓病(CKD)とは


慢性腎臓病(CKDと呼ばれます)は、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症など慢性的に持続する腎臓病をすべて含めた総称です。
尿検査や血液検査などによって、腎機能の低下や尿の異常(特に尿蛋白)が3ヶ月以上にわたり認められるとCKDと診断されます。
CKDが進行すると、腎機能が停止し、尿毒症を起こす危険性があるため、透析療法が必要になります。
また、CKDは心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)の発症にも大きく関わっています。

したがって、CKDと診断された場合には、その進行を遅らせるために、原因となる疾患(原疾患)や病期(ステージ)を診断し、早期からの適切な対策や治療を開始することが大切です。
適切な治療を行うことで、透析療法の導入や心血管疾患の発症リスクを大幅に低下させることができます。

CKDの診断とステージ分類

CKDは、原疾患の種類に関わらず、次のように定義されています。

CKDは進行すると腎機能が低下していきます。
腎機能は、糸球体で老廃物を濾過する能力を表す糸球体濾過量(GFR)で判断します。

CKDはGFRの値により、右図のような5つの病期にステージ分類されます。
CKDは腎機能低下の進行により、ステージ1からステージ5へ進行します。

CKDのステージ分類

GFRの測定は、蓄尿によるクリアランス検査を行うことが基本です。
しかし、蓄尿ができない場合には、性別、年齢、血清クレアチニン濃度により推算することができます。
この値は推算GFR(eGFR)と呼ばれ、60未満ではかなり正確に腎機能を評価することができます。

CKDの治療

CKDの治療の目的は、腎機能の低下を抑制し、透析療法の導入を遅延させることや、心血管疾患の発症を予防することです。

CKDの治療法は、次の2つに大きく分けられます。

薬物療法は、それぞれの原疾患に応じて行われます。
また、CKDでは高血圧が生じやすく、腎機能の低下を速める原因となるため、原疾患に関わらず降圧薬も用いて、血圧のコントロールを行います。

食事療法は、原疾患の種類に関わらず行われます。
糸球体への過剰な負担を減らすために、食塩やたんぱく質の摂取量をコントロールし、適正なエネルギー量を摂取します。

CKDのステージ1、2では、原疾患に対する薬物療法が主体となります。
ただし、ステージ3以降においては、薬物療法に加え、食事療法を併用することで、腎機能の低下を抑制することができます。
特に、ステージ4、5で透析導入の遅延を目指す場合には、極めて有効な手段となります。

CKDの食事療法

CKDに対する食事療法の目的は、腎機能の低下を抑制し、透析療法の導入を遅延させることです。
腎機能の低下を抑制する食生活の基本は、

  1. 食塩の摂取コントロール
  2. たんぱく質の摂取コントロール
  3. 適正なエネルギーの摂取

となります。

腎臓に負担をかけないような食生活に切り替えることで、残っている腎機能を保護し、CKDの進行を遅らせることが可能になります。

  1. 食塩の摂取コントロール
    食塩を摂り過ぎると、体内の塩分濃度が過剰となり、それを排泄させるために、糸球体に過剰な負担をかけます。
    また、高血圧を引き起こし、腎機能の低下を速める原因となります。
  2. たんぱく質の摂取コントロール
    たんぱく質を摂り過ぎると、代謝産物である老廃物が増加し、それを排泄するために、糸球体に過剰な負担がかかります。また、腎機能が低下すると、増加した老廃物が体内に蓄積し、尿毒症を呈します。
  3. 適正なエネルギーの摂取
    エネルギーを摂り過ぎて肥満になると、糖尿病や脂質異常症の原因となり、腎臓の血管の動脈硬化を進行させます。逆に、エネルギーが不足すると低栄養状態となり、筋肉がエネルギー源として使用されるため、その代謝産物(老廃物)が、糸球体に過剰な負担をかけます。

CKDの食事療法基準

CKDの食事療法は、原疾患の種類に関わらず、腎機能低下の程度に合わせて行われます。

「慢性腎臓病に対する食事療法基準2007年版※(以下、食事療法基準)」では、CKDのステージ別に内容が提示されています。

また、尿中への蛋白漏出量が多いほど腎機能の低下が速くなるため、早期からの治療が重要になります。
そこで、食事療法基準では、ステージ1~3において、尿蛋白量別に内容が提示されています。

※日本腎臓学会:慢性腎臓病に対する食事療法基準2007年版.
日本腎臓学会誌 49:871-878,2007.
食事療法のステップ15

食事療法の必要度は、ステージが進むほど、また病態が重篤なほど高くなります。

食事療法では、まずは減塩が基本になります。
そして、たんぱく質の摂取コントロールと個々人に見合った適正なエネルギーの摂取が原則となります。

また、腎機能が低下してくると、カリウムが排泄されにくくなります。
血中のカリウム濃度が高いと不整脈や心停止を起こす危険性もあるため、食事からのカリウムの摂取量を、適正にコントロールする必要があります。

食塩のコントロール

CKDの食事療法において、食塩のコントロールは最も基本となります。

減塩の目的は、糸球体への負担を軽減するとともに、腎臓病を悪化させる高血圧を改善することです。
1日の食塩摂取量は、6g未満に抑えることが理想的となります。

減塩を成功させるポイントとしては、まずは調味料や食品に含まれる食塩量※を知ることです。
そして、急に食塩量を減らすのではなく、徐々に薄味に慣れるようにし、習慣化することが大切です。

低たんぱく食事療法

低たんぱく食事療法は、老廃物の産生や蓄積を抑制し、透析療法の導入を遅延させることができると知られています。
また、腎機能の低下を抑制する効果も認められています。

CKDに対する低たんぱく食事療法の要件として、次の3点が挙げられます。
これらは、栄養障害を防ぎつつ、低たんぱく食事療法の効果を発揮させるための重要なポイントになりますが、何よりも継続することが大切です。

1.たんぱく質摂取量を腎機能低下抑制のための有効量まで減少させる

腎機能の低下を抑制するための有効量は個々人で異なりますが、ステージ3~5では、たんぱく質の摂取量を通常0.6~0.8g/kg/日にコントロールすることが行われます。
また、0.5g/kg/日以下の超低たんぱく食が有効との報告もあります。
(巻末の付表2「成人の慢性腎臓病の食事療法基準」を参照)

2.炭水化物や脂質から十分にエネルギーを摂取する

たんぱく質の摂取量をコントロールすることで、腎臓への負担は減りますが、エネルギー不足になりがちです。
主に炭水化物からエネルギーを摂取し、動脈硬化の予防の観点から、脂質のエネルギー比率は20~25%とします。

3.食事全体のアミノ酸スコアを100に近づける

たんぱく質の摂取量をコントロールすることで、必須アミノ酸が満たされない可能性があります。
摂取するたんぱく質の60%以上を、動物性たんぱく質にすることで、食事全体のたんぱく質の質(アミノ酸スコア)を上げることができます。

低たんぱく質食品の利用

通常の食品のみで低たんぱく食事療法を行うと、エネルギー不足になりがちです。
このような場合、低たんぱく質食品が利用できます。

例えば、主食を低たんぱく質食品に置き換えることで、たんぱく質摂取量を控えつつ、十分なエネルギーを確保することができるため、低たんぱく食事療法の実施が容易になります。
特に、たんぱく質摂取量の制限が大きい場合には有用です。

また、不足するエネルギーを補うために、補食や間食にお菓子や嗜好品を利用することも一つの方法です。
例えば、たんぱく質量を調整したゼリーやクッキー、飲料(レナジーbitなど)等の利用が挙げられます。

利用のポイントとしては、個々人の嗜好に合って継続しやすいものを選ぶことが挙げられます。

さらに、低たんぱく食事療法により、摂取量が少なくなる栄養素(食物繊維、ビタミン、亜鉛など)も存在します。
不足しがちな栄養素に配慮しつつ、栄養バランスが優れたものを選ぶことも重要です。



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