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このページは、ホームの中の食事と介護の中の中村育子栄養士の訪問栄養指導レポートの中の中村育子栄養士の訪問栄養指導レポート(3)のページです。

中村育子栄養士の訪問栄養指導レポート中村育子栄養士の訪問栄養指導レポート

今回は、実際に在宅訪問栄養指導している東京都足立区のHさんのお宅に、皆さんも一緒に在宅訪問体験をしてみましょう。

Hさん宅に訪問

要介護5の女性です。大正6年生まれの94歳です。息子さんと二人暮らしです。
息子さん以外のお子さんも時々、訪ねてきてくれますが、主の介護者は息子さんで、Hさんが寝たきりになって5年間一生懸命介護しています。しかし息子さんも67歳なので、病院に通院する事が増えてきました。足・腰が痛くて整形外科にかかったり、血圧も高いので内科にもかかっています。このまま行くと息子さんが介護疲れで倒れてしまうので、息子さんの介護を軽減するため、ヘルパーさんが訪問して色々な介護を行ってくれます。しかし、Hさんは、息子さんの事が大好きで、誰の介護よりも息子さんの介護がうれしい様子です。
食事ですが、息子さんは料理があまり得意ではありません。Hさんの食事はミキサー食なので、手作りはとても時間がかかり、大変です。息子さん一人では手作りできないと判断したため、市販の介護食品を購入して食べてもらっています。
写真はHさんが購入した「エンジョイおかずゼリー」を食べていることころです。息子さんのこだわりは2層になっている「エンジョイおかずゼリー」をよく混ぜて、味を均一にしてから食べさせることです。Hさんは美味しい物はすぐに食べてしまうので、「エンジョイおかずゼリー」もすぐに食べ終わりました。

私はHさんの在宅訪問栄養指導では、低栄養を改善させるために訪問しています。摂食・嚥下障害のあるHさんの食事形態が現在の食事で良いのかを色々な職種の方に相談します。主治医、歯科医師、看護師、リハビリスタッフの方と評価し、ケアマネジャーに報告します。また、飲み込みの悪い患者さんは摂取栄養量が少ないため、摂取栄養量が必要栄養量を満たしているかチェックします。
Hさんは甘い物が大好きです。その事を知っている息子さんはHさんに、カルピス、フルーツジュース、果物、ゼリーやプリンをすぐに食べさせていました。その結果、たんぱく質の多い食品が欠乏していたのです。褥瘡も出来ていました。甘い物を少し減らして、介護食品や栄養補助食品の中から、たんぱく質を多く含む食品のおかずを、たくさん摂るように息子さんに栄養指導しました。その結果、6か月後には、体重が34kgから38kg(BMI16.2kg/m2→18.1kg/m2)と増え、血液生化学検査で栄養状態の指標である、血清アルブミン値が3.3g/dlから3.6g/dlへ改善し、褥瘡もなくなりました。身体面でも声が大きくなり、よく動き、元気になりました。
巡回入浴では入浴中に得意の踊りを踊る事があると巡回入浴職員の連絡ノートに書いてありました。このように栄養状態が改善することによって、日常生活動作能力(ADL)も向上します。Hさんの場合は摂食・嚥下障害はありますが、とろみのつけ方や食形態が合っているため食事量も多く、もりもり食べてくれました。
管理栄養士が行う在宅訪問栄養指導では、栄養の問題点を抽出し、その問題点を改善できるように栄養ケア計画を作成します。その中で、在宅でどのような食支援をするか、効果的な方法を関係職種や家族と一緒に考えます。口腔内の問題があればケアマネジャーに報告して、訪問歯科受診の提案をします。そして口腔内の問題が解決すれば、摂取量も増える場合が多いのです。

在宅訪問栄養指導における栄養士の役割は?

管理栄養士は在宅でどんな事をしてくれるのかと、聞かれる事があります。管理栄養士はその専門性から、お食事の内容を聞き取り、その食事内容から栄養や疾病の問題点が何なのかつきとめ、問題解決にどのような取り組みをしたら効果的なのか、栄養ケア内容を考えます。そして在宅の環境下で、本人・家族・ヘルパーが無理なく短時間で、問題解決できる方法を考えます。ここで本人・家族・多職種に参考意見を、お聞きして栄養ケア内容を決定します。その際に調理方法なども分かりやすく説明し、調理を介した栄養指導を行います。
糖尿病、脂質異常症、高血圧、肥満などの生活習慣病は、疾病の原因が自分の食習慣から来ているものだと、気がつく人は少ないです。また、気づいていても改善できない場合がほとんどです。しかし、栄養上の問題点を見つけ、食習慣の改善をする事は、とても重要なことで、生活習慣病の病状の改善や悪化防止、合併症の予防には欠かせません。

年末年始の自己管理

これからクリスマス、忘年会、年末年始、新年会などのイベントがあり、普段の食事量よりも多くの量を摂取します。今日だけと思って食べてしまうと、あっという間に体重が増えてしまいます。また胃が大きくなってしまうと、たくさん食べないとお腹が一杯にならず、満腹感が得られませんので、どんどん食事量が増えていく事に拍車がかかります。昼食がごちそうであったら、夕食はごく少な目にするとか、野菜類を多く食べるなどして、低エネルギーになるよう努めます。また夕食がごちそうの場合はその日の昼食や翌日に調整しましょう。そして体重はなるべくこまめに測って、0.5kgでも増えたら、プチダイエットをして、なるべく早く元の体重に戻すようにします。こうすれば、体重は維持しやすいです。また寒くなったので、運動量が減ってしまうと、基礎代謝量が減り、太りやすくなりますので、なるべく歩く時間を増やしましょう。急に体重が増え、5kgも増えてしまうと、ダイエットも大変ですし、体重が増えた事によって、高血圧、高血糖、脂質異常症などが出てくる場合があります。これがメタボリックシンドロームです。このようなことにならないよう、どうか皆様、食事量の増加、運動量の減少、体重の増加に気を付けて、良いお年をお迎えください。

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