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このページは、ホームの中の医療従事者向け情報の中の病態別栄養関連情報の中の嚥下困難のページです。

嚥下困難

摂食・嚥下とは?

摂食とは、外部から水分や食物を口に取り込む(食べる)こと。
嚥下とは、取り込んだ水分や食べ物を咽頭と食道を経て胃へ送り込む(飲み込む)こと。

摂食・嚥下のメカニズム

一般的に、嚥下の動作は、口腔相、咽頭相、食道相の3相に分けられる。(口腔相の前に、準備相を加えて4相とする場合もある。)
食物の流れをとらえるために、以下の5期に分けることもある。

老化に伴う摂食・嚥下機能の低下原因

  • ムシ歯などで歯が弱り、咀嚼力が低下する
  • 口腔、咽頭、食道など嚥下筋の筋力低下
  • 粘膜の知覚、味覚の変化(低下)
  • 唾液の分泌減少、性状の変化
  • 咽頭が解剖学的に下降し、嚥下反射時に喉頭挙上距離が大きくなる
  • 無症候性脳梗塞の存在(潜在的仮性球麻痺)
  • 注意力、集中力の低下

藤島一郎 : 口から食べる 嚥下障害Q&A.中央法規出版,1996.

嚥下障害をきたすと・・・

  1. 誤嚥(呼吸器合併症・窒息)
    →食物などが声門を越えて、気管(肺)に入り込むこと
    入った食物は、肺組織に障害を与え、感染して肺炎を発生させたり、気道をふさいで窒息させたりする
  2. 栄養摂取不良(脱水症・栄養不良)
  3. 食べる楽しみの消失→QOLの低下

好ましい摂食姿勢

自分で摂食が可能な場合は、90度座位で、介助者が介助する場合は、30から60度位の仰臥位が好ましい。

※ただし、30度仰臥位では、食器から口に食物を運びにくく、機能的でないために、嚥下がスムーズになれば徐々にベッドアップして上体を起こしていく。

留意点

  • 患者個人にとってのベストポジションを見つける
  • 長時間同じ姿勢は避ける
  • 頚部が伸展しないようにする

食事時の環境調整

  • 食事に集中できる環境をつくる
  • 患者の興味をそらすものを近くに置かない(テレビなど)
  • 使い慣れた使いやすい食器を使う
  • 介助者にも心の余裕が必要(患者をせかさない)
  • 食事中に不必要に話しかけない

食べさせ方のポイント

  • 口腔内衛生の確認
  • ウォーミングアップ(頸部の体操、のどのアイスマッサージ、少量の水の嚥下)
  • 介助者の位置(患者に上を向かせない)
  • 何を食べるか患者に見せる
    「しっかり飲み込みましょう」と声かけする
    嚥下に意識を集中すること(think swallow)
  • 一口入れたら、顎を引かせ嚥下運動を確認する
    不十分ならもう一度嚥下させる
  • 嚥下後の湿性嗄声の確認
  • 必要なら空嚥下を入れる
  • 難しい食物のあとは、嚥下しやすい食物でのどをきれいにする
  • 1食にかける時間は30分程度が目安
  • 食後すぐに体位を寝かせない(胃内容物の逆流予防のため)

嚥下食

嚥下食はミキサーやゲル化剤、とろみ調整食品などを利用して調理する。
嚥下食の開始期には、密度が均一で適当な粘度があり、バラバラになりにくく、体温で溶けるためゼラチンが多用されている。

嚥下食の条件

  1. 適度な粘度があり、食塊を形成しやすい
  2. 口腔や咽頭を変形しながらなめらかに通過する
  3. べたつかずのど越しがよい
  4. 密度が均一である
  5. 残留したり誤嚥しても、吸引や咳で喀出しやすい

咀嚼・嚥下に適した食品

 
温度 冷たいか温かいかはっきりした温度
 
はっきりしたもの(表面をやや濃いめに味付け)
 
性状 食塊としてまとまりやすく、硬すぎず、変形しやすいもの
硬さや質感の違う物が混在していないもの
 
ティースプーンに1杯程度
 

食品例

 
固形物 ゼリー、まぐろのたたき、卵豆腐、茶碗蒸し(具のないもの)、ムース、プリンなど
 
液状 ピューレ状、ペースト状(とろみ調整食品で調整)など
 

咀嚼、嚥下に適さない食品

口への取り込み、咀嚼・食塊形成しにくいものは以下である。
また、水分は最も誤嚥しやすく注意が必要である。

 
1. 水分 水、お茶、ジュースなど
 
2. 酸味の強いもの 酢の物、柑橘類など
 
3. パサつくもの 焼き魚、ゆで卵、ふかしいも
 
4. うまく噛めないもの かまぼこ、こんにゃく、凍り豆腐、なめこなど
 
5. のどにはりつくもの 餅、焼き海苔、わかめ、バターロールパンなど
 
6. 粒が残るもの ピーナッツ、大豆、枝豆など
 
7. 繊維の強いもの ごぼう、ふき、小松菜など
 

※ミキサーにかける、あんかけにする、水分を添加する、とろみをつけるなどの工夫をすれば食べやすくなるものもある。

補助食品…とろみ調整食品とは

とろみ調整食品(増粘剤)とは

液体や食物にとろみをつけるための添加剤。従来からある片栗粉などは、水に溶かして材料と一緒に加熱するので時間を要するが、増粘剤には混ぜるだけでとろみをつけられるものもある。
とろみは、患者の状態に応じて粘度を調整する。
温度や時間の経過による、粘度の変化に注意を要する。
患者さんに食べてもらう前に必ず試食して味や硬さ、とろみ具合などをみる必要がある。

とろみつけのポイント

  • 患者さん個々人にあわせた粘度をつける
  • 毎日、一定の粘度にする
  • 粘度が安定するまで待つ

ゲル化剤とは

液体を流動性のないゼリー状に変える添加剤。ゼラチン、寒天、カラギーナンなどがある。ゼラチンは体温でとける、寒天は硬くなりやすいなど、それぞれの利点・欠点をよく知って使用する必要がある。

市販の補助食品

嚥下障害用に嚥下食としての特性(ゼリー状、ムース状、トロミタイプなど)を備えたものや、いわゆる栄養補助食品としてカロリーや蛋白質、微量元素などを補うための食品がある。両者を兼ね備えた製品も多数販売されており、用途に応じて選択するとよい。

引用:摂食・嚥下ポケットガイド
監修:昭和大学歯学部口腔衛生学教室 准教授 弘中祥司先生



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