ProjectStory 01

リハビリテーション栄養=森永乳業クリニコ
ブランドイメージ確立への挑戦。

「リハビリテーション栄養」。いまや医療従事者の間では広く普及している概念です。その始まりは2010年。当社のマーケティングチームは、当時のESPEN(欧州臨床栄養・代謝学会)で発表された、サルコペニア(筋肉減少症)という概念に注目しました。そして「この分野は今後、大きな市場になる」と確信。製品の開発・発売よりも先に、ブランドイメージの定着を目指して活動を始めました。

チームメンバー
川津 正俊

クリニカルマーケティング部
常務取締役部長

1993年に森永乳業(株)へ入社。育児用粉ミルクの営業とマーケティングを経験し、2007年から森永乳業クリニコで流動食を担当。2010年から「リハたいむゼリー」の企画・開発に携わる。

吉村 俊⼀郎

クリニカルマーケティング部
マーケティング企画 グループ
グループ長

2002年に森永乳業(株)へ入社。育児用粉ミルクの営業と企画を経験し、2016年から森永乳業クリニコへ。「リハたいむゼリー」の販路開拓やNRへの情報提供を行う。

神園 明希⼦

営業本部 広域チャネル推進部
もぐもぐ日記開発グループ
リーダー(管理栄養士)

2005年に森永乳業クリニコへ入社。NR(栄養情報アドバイザー)として活動した後、2007年から製品開発やセミナーの運営、医療従事者向け冊子の編集などに携わる。「リハたいむゼリー」に関する情報発信を担当。

※所属部署・役職は取材当時のものです。

- 「リハビリテーション栄養」への取り組みを始めたきっかけを、教えてください。
川津
きっかけは、2010年にESPEN(欧州臨床栄養・代謝学会)で「サルコペニア(筋⾁減少症)※」の診断基準が発表されたこと。その発表に同席した際の各国研究者の関心の高さなどから、今後「サルコペニア」という概念は、高齢化が顕著な日本国内でも普及すると考えました。
※サルコペニアとは、加齢や疾患によって活動量が減った結果、下肢や体幹などあらゆる部分の筋肉量が減少して身体機能の低下が起こる状態を意味します。

当社の経営理念である「QOLへの貢献」のひとつとして、⾼齢者や患者さんのADL(⽇常⽣活動作)改善を当社品でサポートすることは重要な使命であると考えています。当社にとって、今後はこの「サルコペニア」に対する栄養サポートも欠かせないものになると感じました。

しかし、当時は医療従事者でさえ「サルコペニアって何?」という状態で、新しい製品の開発を目指す私たちでさえ、どのような栄養素が必要なのか知見がありません。そこで、まずはサルコペニアとリハビリテーション栄養に関心を持っている医師にオピニオンリーダーとしての活動を相談し、当社としては手探りの状態で新しい概念の普及をサポートする取組みを開始しました。
- 初めは、手探り状態からのスタートだったのですね。
川津
この新しい概念の普及にいち早く取り組んだ研究会が、「日本リハビリテーション栄養学会」の前身である「日本リハビリテーション栄養研究会」でした。当社は研究会の発足当初から参画し、ここからリハビリテーション栄養の取組みをスタートさせています。まずは、「リハビリテーション栄養とサルコペニア」の概念の普及に努めるとともに、同研究会のオピニオンリーダーとの関係構築を図りました。

具体例としては、2013年から「リハ栄養フォーラム」を開始。これは「リハビリテーション栄養」の概念を広める入門セミナーとして、毎年、全国7~8地区で2000名程度の医療従事者が参加されています。このセミナーを通じて、リハビリテーション栄養の普及の一翼を担うとともに、「リハビリテーション栄養、サルコペニアへの栄養介入」=「森永乳業クリニコ」というブランドイメージを確立できてきたと思っています
- 製品の発売は2015年。開発には5年もの月日をかけたんですね。
川津
リハビリテーション栄養向け製品の開発コンセプトは、2010年の取組み開始時から検討を始めていましたが、オピニオンリーダーの方々のご意見を伺ったり、臨床現場にも実際に足を運んで、使い勝手に関する知見を得るのに時間を要しました。
神園
そうして2015年に発売された「リハたいむゼリー」は、リハビリテーション栄養で必要となる栄養素であるBCAA・たんぱく質、ビタミンDを配合した製品で、最もこだわった点は、「おいしさ」です。私はNR(栄養情報アドバイザー)時代に、現場の管理栄養士さんや看護師さんから、「せっかく栄養補助食品を提供しても、患者さんが食べてくれない。」という相談を受けたことがあります。その経験から、製品開発を行う上で何よりも「おいしさ」を重視しています。リハたいむゼリーでは、毎日飽きずに召し上がっていただけるよう、さっぱりとした『マスカット味』を採用しました。
吉村
さらにオピニオンリーダーの医師から「飲み込みやすいように液体ではなく、飲むゼリー飲料が良いのでは?」というアイデアをいただきました。また、患者さん自身が介助を受けることなく、自力で召し上がっていただくことも考えると、パッケージの形状はスタンディングパウチの一択。当時、病院で提供される栄養補助飲料は紙パックをストローで飲む形態が主流であったため、これは画期的な決断でした。そして、リハビリ時の栄養補給というコンセプトを明確に伝えるために、製品名に「リハ」を冠し、「リハたいむゼリー」と命名しました。
- 発売する頃には、競合製品も出てきたのではありませんか?
吉村
当時はアミノ酸入りのゼリー飲料が一般市場でもちょっとしたブームになりましたね。しかし当社は、リハ栄養フォーラムを継続する一方で、リハビリテーション栄養普及啓発の小冊子を作成したり、リハたいむゼリーを実際に使用した際のエビデンス取得などに力を入れました。
川津
新たな領域でのエビデンス取得には時間を要しましたが、リハビリテーション栄養の取り組みの中に「リハたいむゼリー」を含めた臨床研究を先生方に推進いただき、質の高いエビデンスを取得することができました。リハビリテーション栄養の概念は、徐々に浸透してきていますが、当社は他社に比べても取り組み開始が早く、その後の様々な取り組みでも先行しています。おかげで、「リハビリテーション栄養・サルコペニア」への栄養介入の領域におけるリーディングカンパニーとして、当社のブランドイメージは定着しつつあると感じています。
- 森永乳業クリニコにとって、新しい分野の製品が誕生したのですね。
吉村
今までは医療機関を中心に入院病棟で使用される流動食が当社のメイン製品でした。「リハたいむゼリー」はリハビリを行う回復期リハビリテーション病棟や整形外科などの病院や介護市場など、新しい販路を開拓してくれた画期的な製品です。現在は、サルコペニア対策の一つとして、運動療法と栄養療法の複合的介入の重要性が認知され、国内の診療ガイドライン(サルコペニア診療ガイドライン2017)にも記載されるところまで広がっています。特に、リハビリ患者の多い、回復期リハビリテーション病棟においては、栄養管理の重要性が認知され、診療報酬算定の中に管理栄養士の配置が義務化されると共に、リハビリテーション栄養にベストマッチな製品として、リハたいむゼリーの認知度も拡大し、販売量も年々増加しています。味についても、発売当初のマスカット味に加え、もも味、はちみつレモン味、甘夏味と品種を増やし、おかげさまでご好評をいただいています。
- こうした仕事のやりがいは、どんなところに?
神園
現在、私は高齢者向けにサルコペニア予防に関する冊子を企画したり、「クリニコ認定栄養ケア・ステーション」の運営を担当しています。こうした活動により、世の中の方のお役に立てるのは何よりもやりがいになりますね。
吉村
私は森永乳業では、育児用粉ミルクの営業と企画を担当していて、その仕事にもやりがいはあったのですが、赤ちゃん本人から感想を聞くことはできないという、もどかしさもありました。一方で、「リハたいむゼリー」を使った医師や理学療法士の方々からは「弱っていた方が確実に元気になった」「体力を回復した」という感想を聞くことができますし、時には自分の目で実際の臨床現場を見ることもできる。それは大きなやりがいです。
川津
リハビリテーション栄養の概念も浸透し、最近では院内でチームになって取り組むご施設が増えてきました。それに伴い、患者さんのADLが改善された報告を聞く機会が多くなり嬉しく思います。患者さんの生活や命に大きく関わる私たちの仕事は、やりがいに満ちています。
- チームとしての今後の課題や目標を教えてください。
吉村
今後の課題は、退院した患者さんが自宅でもリハビリテーション栄養を実践していただき、リハたいむゼリーを継続してご利用いただけるようにすることです。高齢の方は、通信販売に馴染みがない場合も多いので、かかりつけの保険薬局でオーダーできるようにするなど、大手保険薬局チェーンとの共同取組みも実施しています。保険薬局の薬剤師さんからもリハたいむゼリーをご紹介していただけるよう、さまざまな方法で周知を図るよう工夫していくことが課題です。
神園
私は「クリニコ認定栄養ケア・ステーション」を通して、地域住民(在宅高齢者)の栄養改善や介護予防を目的とした情報提供に力を入れていきたいと思っています。今後は、リハビリテーション栄養やフレイル・サルコペニア、食べる力にも着目したセミナーなどを実施したいと考えています。
川津
今まで医療機関を中心に取り組んできたリハビリテーション栄養ですが、今後は在宅においても重要な概念として普及させ、リハたいむゼリーをはじめ、当社の栄養補助食品の認知・拡大を行っていく必要があると考えています。また、これまでのリハビリテーション栄養の概念に加え、歯科・口腔との関連性も注目されています。病院や施設それぞれの場面において、患者の幸せにつながるリハビリテーション栄養の喜びを実感してもらうために、最新な適切な情報の提供を継続していきます。これまでのリハビリテーション栄養の取組みを通じ、また今後も継続していくことで、高齢者や患者さまが1日でも長く幸せに生活を続けていく、QOL向上につながる提案や製品紹介をチーム一丸となって続けていきます。
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