学会分類以外の
食形態の分類について

学会分類2021以外の分類

摂食嚥下障害に配慮して調整された飲食物の分類は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会による「嚥下調整食分類2021(以下、学会分類2021)」以外にも、さまざまな団体・組織で制定されたものがあります。

ユニバーサルデザインフード1)

日本介護食品協議会が制定している自主規格です。
レトルト食品や冷凍食品などの調理加工食品、とろみをつけるためのとろみ調整食品などの市販品において、規格に適合したものに特定のマークが記載されています。

ユニバーサルデザインフードは、「かたさ」や「粘度」により4つに分類されています。

  • 容易にかめる

    かたいものや大きいものがやや食べづらいが、飲み込む力は問題ない方が対象。かたさの目安は普通に炊いたご飯からやわらかく炊いたご飯。

  • 歯ぐきでつぶせる

    かたいものや大きなものがやや食べづらく、食物によっては飲み込みづらいことがある方が対象。かたさの目安はやわらかく炊いたご飯から全粥。

  • 舌でつぶせる

    細かくてやわらかいものなら食べられて、水やお茶が飲み込みづらいことがある方が対象。かたさの目安は全粥。

  • かまなくてよい

    小さくても固形物は食べづらく、水やお茶も飲み込みづらい方が対象。かたさの目安はペースト粥。

特別用途食品(えん下困難者用食品)2)

えん下困難者に適するという特別の用途について表示するものです。かたさ、付着性、凝集性の許可基準によりその適合性を審査し、国(消費者庁)の許可を受けて表示します。嚥下を容易にし、誤嚥や窒息を防ぐためにかたさなどを調整した食品で、消費者庁の許可のもと、嚥下困難者が摂取するのに適した食品であることが表示されています。医師、歯科医師、管理栄養士、薬剤師、言語聴覚士などの相談・指導のもと使用することが適当とされています。

飲み込みに不安のある方、食事中のむせ(誤嚥)が気になる方を想定し、「硬さ」「付着性(くっつきやすさ)」「凝集性(まとまりやすさ)」を示した値をもとに、I~IIIまで区分されています。

特別用途食品(えん下困難者用食品)

スクロールできます

規格※1 許可基準I※2 許可基準II※3 許可基準III※4
硬さ
(一定速度で圧縮したときの抵抗)(N/m2
2.5×103~1×104 1×103~1.5×104 3×102~2×104
付着性(J/m3 4×102以下 1×103以下 1.5×103以下
凝集性 0.2~0.6 0.2~0.9
  • 常温および喫食の目安となる温度のいずれの条件であっても規格基準の範囲内であること。
  • 均質なもの(たとえば、ゼリー状の食品)。
  • 均質なもの(たとえば、ゼリー状またはムース状等の食品)。ただし、許可基準Ⅰを満たすものを除く。
  • 不均質なものも含む(たとえば、まとまりのよいおかゆ、やわらかいペースト状またはゼリー寄せ等の食品)。
    ただし、許可基準Ⅰまたは許可基準Ⅱを満たすものを除く。

消費者庁 「特別用途食品の表示許可等について」の全部改正について(令和元年9月9日 消食表第296号)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/assets/food_labeling_cms206_20201117_01.pdf

スマイルケア食3)

市販の介護食品を選ぶ際の参考になるよう、農林水産省によって設けられた分類です。
青、黄、赤、3色のマークが設けられ、黄と赤はさらに細分化されています。

スマイルケア食
  • 青マーク

    かむこと・飲み込むことに問題はないものの、健康維持上、栄養補給を必要とする方向けの食品。

  • 黄マーク

    かむことに問題がある方向けの食品。さらに「容易にかめる食品:5」「歯ぐきでつぶせる食品:4」「舌でつぶせる食品:3」「かまなくてよい食品:2」に分類されています。

  • 赤マーク

    飲み込むことに問題がある方向けの食品。さらに、えん下困難者用食品許可基準にあわせ、「許可基準III:2」「許可基準II:1」「許可基準I:0」に分類されています。

「学会分類2021」との対応

各分類は、「学会分類2021」のどのコードに相当するか示されています。

スクロールできます

学会分類2021 スマイルケア食 ユニバーサルデザインフード 特別用途食品
0j 0 - 許可基準I
0t 0 - -
1j 1 かまなくてよい 許可基準II
2-1 2 かまなくてよい 許可基準III
2-2 2 かまなくてよい 許可基準III
3 3 舌でつぶせる -
4 4 舌でつぶせる
歯ぐきでつぶせる
容易にかめるの一部
-
  • 嚥下食ピラミッド「L5 普通食」、スマイルケア食「5」「青マーク」の記載は割愛
  • 「-」は学会分類2021に対応していない場合を示す
  • 学会分類2021との整合性や相互の対応が完全に一致するわけではない

『日摂食嚥下リハ会誌25(2):135–149, 2021』 または 日本摂食嚥下リハ学会HPホームページ:
https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2021-manual.pdf
表を自社で改変。表の理解にあたっては『嚥下調整食学会分類2021』を必ずご参照ください。

学会分類2021以外を参考にして、嚥下調整食の市販品を検討することもあるでしょう。それぞれの分類を理解しておくと市販品の選択に役立ちますね。

医療・介護従事者の方向けに、摂食嚥下ポケットガイドをご用意しています。