vol.1 退院後の在宅生活で気を付けたいポイント

監修 吉村芳弘先生
吉村芳弘先生
(医師)熊本リハビリテーション病院
サルコペニア・低栄養研究センター センター長

1.在宅生活を活き活きと過ごすために大切な事

ご退院、おめでとうございます。これまでリハビリを頑張ってこられ、やっとこの日を迎えられたことに喜びを感じておられることと思います。しかし、ご退院後のリハビリや生活においては、不安なこともあるかもしれません。退院後の生活においては、ご自身の身体と向き合いながら、地域からのサポートを受けつつセルフケアをおこなうことも活き活きと過ごすために大変重要な事です。

ぜひ、このページを参考に、「おいしく食べて、笑顔で」在宅生活を送っていただきたいと思います。このページを積極的に活用し、再発予防やリハビリにお役立てください。

2.なぜ、栄養・運動・口腔が大切なのか?

在宅生活の基本は、ご自身の身体です。身体を作るのが、栄養と運動です。栄養を摂るための入口が口腔です。入院生活では、疾患と身体活動、日常生活への影響を考慮して、なるべく筋肉を落とさないように専門職種のチームによってしっかりとケアがされていました。在宅生活においても、栄養・口腔・運動を整え社会・地域でのつながりを維持する事が、その後の活き活きとした生活にもつながる事が知られています。この3点はどれか1つだけではなく、それぞれが関連しています。

  • 運動すればお腹が減りごはんがおいしく食べられる
  • お口の機能が整えば何でも食べることができ、「おいしい」と感じたり、おいしいものをもっと食べたいといったように「食欲」がわいてくる
  • ごはんを食べれば運動するためのエネルギーとなる

ご自身でできるところから始めてみましょう。きっとつながりが感じられるはずです。また、在宅での療養生活が必要な場合には、在宅生活でも専門家からこれらの指導を受けることも可能ですので、ご自身のご希望を遠慮なくお伝えください。

3.再入院を予防するための取組

在宅生活では、日々の取り組みが、皆さんの身体づくりをおこないます。活き活きとした生活を長く続けることができるようにしましょう。

    • 1日3食、食べていますか?
    • 体重が減っていませんか?
    • 外出や運動をしていますか?
    • 体調が悪いとき、身近に相談できる人がいますか?
    • 普段から家族や友達と、お付き合いがありますか?
  • 気を付けたい生活習慣

コメンテーター 岡田晋吾先生
岡田晋吾先生
(医師)医療法人社団守一会
北美原クリニック

おかえりなさい。在宅医からのエール

おかえりなさい。入院生活では自分が思うより体力が低下しています。入院前の生活になるべく戻れるように焦らずゆっくりと始めましょう。

  • 体力回復の基本は栄養摂取と運動です。栄養摂取に関しては医療・介護スタッフと相談してご自分に合った栄養摂取法を考えましょう。食事摂取だけで足りない場合に簡単に摂取できる補助栄養食品で補うことも可能です。
  • 入院生活で体重が減った場合には義歯が合わなくなっていることもあるので、歯科スタッフに診てもらうことも必要となります。
  • また排便コントロールもとても重要です。下痢や便秘があるようならすぐに相談しましょう。
  • そして入院生活で落ちた筋力や機能を取り戻すためにはリハビリテーションが必要です。状況に合わせて在宅でも通所でも専門スタッフによるリハビリを受けることができます。

ご自分の希望を在宅スタッフに伝えてくだされば最適なプランを一緒に考えてくれます。
さあ少しずつやっていきましょう。