vol.3 運動と栄養を、セットで考えよう

監修 吉村芳弘先生
吉村芳弘先生
(医師)熊本リハビリテーション病院
サルコペニア・低栄養研究センター センター長

1.運動のポイント

1.運動のポイント

運動は、歩行や筋力、運動機能や生活動作を改善し、からだづくりに必要と言われています。 ウォーキングなどをおこない一歩外出することで、気分をリフレッシュすることもできます。自宅の中でも運動をすることが可能です。特に、椅子から立ち上がる運動(レジスタンス運動)や、バランストレーニング、ストレッチ(機能的トレーニング)などを、いくつか組み合わせて実施することが良いと言われています。椅子などを使い転倒に注意しながら、毎日継続することが大切です。

2.栄養のポイント(体重と筋肉は新しい栄養指標)

高齢になるにつれ、なんだかおなかもすかないし、あっさりとしたものばかり食べていませんか?お肉もあまり食べたくなく、ご飯や麺類中心の食生活になっていませんか?また、体重が少しずつ減ってきている、そんなことはありませんか?

栄養状態のチェックに体重計に乗りましょう。体重減少は、栄養状態悪化のサインです。

若いころはメタボ対策として体重を増えないようにコントロールすることが大切と言われてきましたが、加齢に伴うフレイルを予防するためには体重を減らさないようにする必要があります。高齢者はエネルギーと合わせて、より多くのたんぱく質を摂取して体重を落とさないようにすることが大切なのです(栄養管理のギアチェンジ)。

3.運動と栄養をセットで考えよう

リハビリテーションをおこなっている方には低栄養が多いことが知られており、低栄養の状態でリハビリや運動をおこなうと、かえって筋肉量が減少することが知られています。そのため、運動に取り組む時には、運動によるエネルギーの消費量や体重増加を目指したエネルギー蓄積量も考えて、より多くのエネルギーを取ることが大切です。 体重と筋肉の維持をおこなうためには、運動だけで取り組むことや食生活(栄養)だけ注意するよりも、一緒に取り組むことが必要なのです。

例えば、筋肉が減少したりからだのバランスが悪くなると、転倒が多くなる事が知られています。 運動と栄養をセットで取り組み筋肉の量を維持する事が、転倒予防につながり、より活き活きとした毎日を送ることができると言われています。

コメンテーター 岡田晋吾先生
岡田晋吾先生
(医師)医療法人社団守一会
北美原クリニック

おかえりなさい。在宅医からのエール

家に帰られて落ち着かれたらリハビリテーションを始めましょう。1週間ほどの入院でも意外に筋力は落ちているものです。入院前と同じように動けると思っても筋力が伴わない場合には何でもないところで転倒してしまうことがあります。できる範囲からやっていくことが大切です。

長期の入院などで筋力が大いに落ちている場合には在宅でも訪問看護師やリハビリスタッフによる専門的なリハビリを受けることができます。また定期的に出かけて行って通所リハビリなどを受けることも可能です。 運動やリハビリを始めると体の負荷に応じたエネルギーや水分が追加で必要となります。リハビリによってどれくらいのエネルギーや水分が必要なのか専門家がアドバイスしてくれます。そのような場合、栄養補助食品などはとても摂取しやすいと思います。

しっかり栄養を摂ってリハビリをおこなうことでみなさんの活動範囲が広がっていきます。目標を持ってゆっくりがんばってくださいね。